クボタの強みと見通し

■ クボタの強み

地球規模で有望な市場は、「水」、「食糧」、「エネルギー」と言われており、このうち、「食糧」に対しては、日本1位の農業機械・農機具のハード技術、「水」に対しては、水道管、ポンプ、バルブ、水処理膜・機器のソフト・ハード技術がある。世界シェアが高い製品が多いことから、業界での知名度は非常に高く、品質評価も安定している。中古製品でもkubotaブランドの人気が高いのは、その一例。ニッチな業界で競合が少ないため安定しており、国内メーカーの中では独走状態。民需・官需双方に強みを持っている。

トラクターやコンバイン等の農業機械販売がメインだが、建設機械、鉄管、エンジン、インフラ、水処理設備等、持っている製品群が多岐に渡る為、特定の製品に売上を依存しておらず、業績のバランスが取れている。また、北米、アジアで売上が堅調で海外比率が非常に高いため、国内市場が低迷しても、影響は大きくない。世界中に支社と販売網があり、これから開拓できる市場が残っているため、まだまだ成長の余地は十分にある。財務体質も強い。


■ クボタの弱み

事業がどれも景気の動向に左右されにくい構造で、製品の価格も安定しているため、会社としての意思決定のスピードが遅い。かつてアスベスト問題を起こしたことなどから、リスクを伴う判断を極端に嫌う傾向が強く、今後のさらなる海外事業拡大のためには大きな障害になる可能性がある。過去の実績に頼りすぎている面があり、何でも自前主義で進めていく傾向がある。事業部間の連携も弱い。

進出した大型トラクターでは品質問題が多発した時期があり、品質は万全とは言えない。一方、アメリカの競合他社AGCOが、クボタの小型農機に進出してきており、競争が激しくなってきている。


■ 抱える課題と事業展望

近年、業績が急拡大しており、売上も利益も株価も東証上場企業の中でも大きくランクアップしている。特に海外事業は、タイなどの東南アジアを中心にまだまだやりきれていない国や市場も多いので発展余地が大きい。田植機など新興国で伸びていく製品が多いので、このまま業績拡大は続く見通し。

今後、グローバル化を推進する上で、システムや社内プロセスの見直しへの投資が急務となっている。現行システムのままで運営していては人が幾らいても足りず、インダストリー4.0といった、新しい概念をどんどん吸収していく姿勢が求められている。


■ ヤンマー

トラクターやエンジンで有名なヤンマー株式会社は競合している事業が多く、かつ強力なライバル。事業全体の売上としては、クボタが勝っている分野が多いが、個々の製品別では負けているものもある。毎月、朝礼時に業績比較の報告があるなど、従業員・幹部社員の多くが強くライバル心を持っており、当面、この状態は続くと思われる。

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