クボタはわずか10秒で水道管を接合できる機具を開発した。従来は水道管が埋まっている側溝に降りて接合していたが、側溝に入らず立ったまま作業できる。全国的に老朽化が進む水道管の更新が急務となっているが、自治体の予算不足などで対応が後手に回っている地域も多い。クボタは作業効率を高めることで工事費用を圧縮、水道管の受注増につなげる。
クボタが開発した機具「サイトコネクト」は、長さ1.5メートル、重さ5.5キログラムほどの大きさ。先端に水道管を挟む、ラバーが内側についた半円形のフックが2カ所ある。このフックを挿し口側と受け口側の両方にはめ込む。その後、持ち手のバーを受け口側と挿し口側に、それぞれ3~4回ほど左右に動かすと接合が完了する。
地上から30~60センチメートルほどに埋設されている水道管なら側溝内に入らずに立ったまま短時間で作業できる。従来は水道管が埋まる側溝内に入り、水道管をひもで固定したチェーンで引っ張り込んでいた。実証試験では、100秒以上かかっていた水道管の接合作業を、10秒ほどに短縮できた。
配管工の人手不足に対応し、「てこの原理を応用しており、誰でもすぐに使える仕組みにした」(開発を担当したパイプシステム事業部の田村剛氏)という。日本工業規格(JIS)に適合した水道管であれば、他社製品でも対応可能だ。2018年度から1台数万円で販売する。初年度には数百台の販売を見込んでいる。
クボタの水環境インフラ部門は水道管の販売が主力事業。「少し視点を変えて、自治体や施工業者のニーズを考えたときに開発を思いついた」(田村氏)。工期を短縮できれば施工費用の削減につながるため、自治体の発注件数も増えると見込む。
当初投入するサイトコネクトは口径が75ミリ~100ミリメートルの水道管に対応している。今後は、より口径の大きい水道管に対応できるよう大型化も検討する。ただ手作業で行うため、重さをいかに抑えるか研究中だ。
クボタは国内の水道鉄管で6割以上のシェアを持ち、耐震性の高い鉄管を量産している。厚生労働省や国土交通省によれば、耐震対策のある上水道管の割合は16年度に39%、主要下水道管では48%にとどまる。更新率の向上に向け、水道管工事の生産性向上が求められている。
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