クボタはあらゆるモノがネットにつながる「IoT」を使い水処理施設を遠隔監視するシステムを開発した。従来の遠隔監視サービスに比べ導入コストを半分以下にできる。国内の老朽化した施設の更新需要を取り込む。組織横断的に営業する体制も整え、2021年までに2500施設への新システム導入を目指す。
開発した「クボタスマートインフラストラクチャシステム(KSIS)」は設備に取り付けたセンサーで測定した水質、電流、振動などのデータをクボタのサーバーに蓄積。施設管理者はインターネットを通じてパソコンやタブレットから地図と連動した施設の稼働状況や故障の履歴を確認できる。水の流量などを確認して部品の摩耗具合を検知し、故障する前に部品交換などの対応ができるようになる。
同社は家庭から出る生活汚水を集めて下水処理場へ送る「マンホールポンプ」など小規模な下水道施設を中心に10年ほど前から監視サービスを手掛けてきた。約2000施設への導入実績があるが、各施設に通信設備やサーバーを設置するなど導入コストが高いのが難点だった。今回新たに低価格な通信端末の自社開発などを進め、他社や同社の従来サービスと比べ導入コストを5分の1~2分の1程度に抑えた。
営業面では機器を扱う水処理部門、水道管などのパイプシステム部門、メンテナンス部門が情報を共有し、一体で提案していく。部門ごとに分かれていたシステムも統一し、各施設の機器の情報を一元管理できるようにする。
クボタは大規模な下水処理場での無線通信技術に関し、NTTグループと共同で少ない消費電力で広域通信ができる「LPWA」技術の実証実験なども7月から始めた。これまで電波が届かなかった地下にある監視室と下水処理設備の間で通信できるようにし、遠隔監視や現場作業の効率化につなげる。18年4月以降の実用化を目指す。
国内には水処理施設は数万施設あり、小規模施設も含めると10万を超えるとされる。人口減少に伴う市町村の合併などで水道事業者の統廃合が進み、合理化ニーズが高まっている。建設から40年以上が経過した施設も増えており、更新案件は今後増加するとみる。割安な遠隔監視サービスを武器に設備と一括で受注を狙う。
環境規制が強まっている海外でも売り込んでいく考えだ。工場廃水の規制が厳しくなっているミャンマーやマレーシアなど、東南アジアで水処理施設の新設需要が高まるとみている。
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