2018/08/03 クボタ―北米事業、消耗戦に市場警戒

 クボタの株価がさえない。年初来の下落率は2割に迫る。2018年12月期の連結営業利益(国際会計基準)は前期比2%増の2040億円になる見通しだが、投資家は売上高の3割を占める北米事業の先行きを警戒しているようだ。
 「売られたケンカだ。我々から降りるつもりはない」。財務担当の木村茂取締役は農機世界首位の米ディアへの対抗心をあらわにする。北米では大型トラクターを主力とするディアが、クボタの得意とする富裕層向け小型トラクター市場に殴り込みをかけている。過去数年にわたる米穀物価格の低迷が響き、北米市場で高額な大型トラクターの売れ行きが鈍っていることがある。
 ディアは小型トラクターの販売にあたり、農家が購入する際のローン金利をゼロにするキャンペーンを展開する。ゼロ金利の優遇期間は当初36カ月(3年)だったが、今では84カ月(7年)まで延びた。
 クボタにとって北米の小型トラクターはシェアで4割を握る重要な市場だ。クボタもディアに対抗して、7年間無金利で買えるようにした。両社の販売競争が収まる気配はなく、クボタの18年12月期は販売奨励金の増加が35億円の営業減益要因となる見通しだ。
 クボタは売上高や利益で世界首位を争う「グローバル・メジャー・ブランド」の確立を目指している。農機の有力市場である北米を攻めるのはこのためだ。
 クボタは2日発表した4~6月期決算で、18年12月期の営業利益を下方修正した。北米の鉄鋼や国内の鉄スクラップなど原料高が要因だが、中国の販売減速もきがかりだ。同期の営業利益は前年同期比1%増の1011億円。中国の販売苦戦を補うために一段と期待が高まる北米事業だが、消耗戦から脱せないと株価の本格的な底入れも遠のいてしまう。

0 件のコメント:

コメントを投稿