■ 教育制度
クボタは教育研修について大学のような制度を導入している。入社5年目までに行われるのが基礎教育で、これは選択5単位・必修3単位の取得が要求される。これをクリアすると次の基本教育を受講することができる。逆に言えば単位を取得できなければ次ステップに昇格できず、給与も上がらない。選択は研修最終日に合否試験、必修は年に1回(11~12月頃だがラグビー部の試合日程による)の合否試験がある。基本教育は3年間で、選択・必修・論文で13点以上の点数を取得すれば次ステップの応用教育に進むことができる(必修・論文は最大5点、選択は1点)。5点を取るためには、試験成績で上位10%に入る必要がある。
応用教育は年間3講座(5回)あり、そのうちの3回は非常に厳しい外部講師の研修。ほぼ徹夜の研修となることもある。各講座終了後にレポートを提出し成績が決まる(最大5点)。応用教育を履修した後に昇格できれば2年後に上級職試験(いわゆる課長試験)がある。このような状況であるがゆえに、上級職試験までは、仕事ができなくても研修の単位さえ取得できれば順調に出世できるシステムになっている。
上級職へ進級後はマイレージ制となっており、毎年の個人評価の積立で昇格・降格が決まる。当然、上に対しては従順にならざるを得ず、いわゆる部下のために闘う課長は非常に少ない。
■ 異動
ジョブローテーション制度が採用されており、定期的な異動を行い自分の適性職種に気づける環境となっている。しかし、事業部制を採用しているため、事業部を跨いでの異動はあまり多くない。基本的には事業部の「生え抜き」が可愛がられる傾向が強く、特に昇格時に強く表れる。ゆえに、他事業部からの異動者に対しては冷たい。
■ 充実の研修制度
新入社員研修により、ビジネスマナーはもちろんの事、製造現場における、ものづくりの厳しさを体験出来る。また、ほぼ全員がアメリカなどの英語圏に一ヶ月留学する制度がある。トレーニー制度もあるため、希望者は海外支社で一年程度経験を積むこともできる。研修センターは子会社として運営されており、会計・マーケティング・戦略等のビジネススキルを濃密に学べる環境が用意され、初級―中級ー上級と階層分けされた講義が受けることができる。受講するかどうかは、個人に委ねられており、希望した場合は上司がそれを承認する。受けたくない人が強制的に受けさせられることはない。自分の業務に都合がつかなければ受講が難しいため、業務を計画的に遂行できることが求められる。
大勢の前でのプレゼンテーションの方法など、外部講師による研修も充実しているので、どこの会社に行っても通用するだけの基本的なビジネススキルはしっかりと身につけられる。「30代までにMBAレベルの教育を受けられる」と言われているのは伊達ではない。
■ 人事評価制度
個人業績は、「業績チャレンジ制度」という目標設定と成果達成による目標管理制度が導入されている。年度の初めに上位方針を踏まえて個人の「業績チャレンジシート」を策定し、目標を設定。半期が終わった時点と年度終わりに上司と面談を行い、チャレンジ目標への達成度や目標外の成果、普段の業務などを鑑みて評価が行われる。評価結果は本人にも説明があるので透明性は高い。自ら高い目標を設定し、達成できるかどうか、がポイントとされているが、評価は相対評価のため、あまり極端な評価はつけづらく、結果は平均的な評価になることが多い。上昇志向の高い人には不満を持つこともある。年功序列的な部分も残っていることから、問題を起こさなければ普通の評価が付く。また、社会的評価が高い国立大学(偏差値の高い大学)出身者ほど有利な評価が付きやすい。新卒入社と中途入社との間で、人事評価に差は無いと説明されている。また中途入社の人数も多いため、新卒入社でなくても比較的早く会社に馴染む事が出来るようになっている。一方で、大卒社員と高卒社員では給与に雲泥の差があるため、高卒の現場系社員は大卒を目の敵にする例もある。
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