クボタ、東南アに照準、コンバイン、生産能力、タイで5割増、北米市場伸び悩みで。(2017/01/21)

クボタは2017年秋をメドに、タイで稲の収穫に使うコンバインの生産能力を5割増の2万台に増やす。同国中部の主力工場で塗装などの設備を増強する。最大の収益源の北米市場では穀物相場の低迷を受け農機販売が伸び悩んでおり、需要が旺盛で同社のシェアが高い東南アジア市場を深掘りする。

クボタはタイ素材大手のサイアム・セメント・グループとの合弁会社を通じ、アマタナコン工業団地内で主力工場を運営する。約30億円を投じて、農機の組み立て工場の隣接棟で塗装や溶接の設備を増やす。09年に現地でコンバインの大型工場を建設して以来の本格的な増産投資となる。

現地で販売価格が400万~600万円程度の売れ筋モデル(エンジン出力で70~100馬力)を増産する。日本のモデルに比べ、電子制御などの機能を絞り、価格を半額程度に抑えている。現地の農家の収入と比べて農機の価格は高いが他の農家の刈り取りにも積極的に取り組み、数年で融資を返済できるという。

タイのコンバイン市場は年5千台規模でクボタは7割以上のシェアがあるとみられる。クボタは東南アジアのコンバイン市場が、16年の約600億円から19年には17%増の約700億円に増えると予測する。能力増強でベトナムやフィリピン、ミャンマーやカンボジアなどへも輸出を増やす。 クボタは16年5月にタイに研究開発拠点を開設した。「収穫時にモミが落ちやすい」といった現地のコメの特徴に適した農機の開発も進める。

クボタの16年12月期の連結売上高は1兆6000億円の見通し。利益の4割を稼ぎ出す北米市場が穀物相場低迷で伸び悩む一方、東南アジアでの売上高は過去4年でほぼ倍増し、3000億円規模に達した。

米ディア、オランダのCNHインダストリアルの欧米の二大農機メーカーは畑作主体で大型製品が主力のため、稲作が中心の東南アジアへの進出が遅れている。クボタは得意のコンバインとトラクターを軸に、先行して地盤固めを図る。

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