老朽下水管、破損防げ、クボタ、圧送管向け調査、断面図と管内撮影で。(2016/12/05)

クボタは、老朽化した下水管の管内を調べるための新手法を導入する。圧力を使って下水を流すタイプの下水管を対象に、断面図を使った調査地点の分析と、小型デジタルカメラによる管内撮影を組み合わせる。近く実証試験に着手。自治体などの下水道管理者に調査を提案し、破損箇所の修繕需要や更新需要の獲得につなげる考えだ。

「圧送管」と呼ばれる鉄製の下水管を調査する。一般的な下水管は土地の高低差で下水を流すが、圧送管はポンプの圧力で高低差に関係なく流す。山間部や起伏が多い場所などで使われている。圧送管は下水管全体の数%と少なく、これまで圧送管に特化した調査手法は確立していなかった。

調査は、断面図などを基に絞り込む間接診断と、撮影による直接診断の2段階で進める。

下水管の老朽化は、下水に含まれる硫化水素が管内の空気と反応して硫酸となり、内壁の腐食を引き起こすケースが多い。クボタは下水管の縦方向の断面図を基に、管の位置や太さ、カーブなどを分析。管内の圧力も考慮し、硫化水素が発生しそうな地点を抽出する。

圧送管には通常、一定間隔で空気弁と呼ばれる穴が設けられている。穴は直径7.5センチメートル。クボタは地上からこの穴を使って、抽出地点に特殊なデカメを差し込み。内部を撮影する。

機材は現在開発中だが、デジカメのユニットを長い棒の先に取り付けた形状を検討している。作業員が手元で遠隔操作できるようにし、撮影画像をフラッシュメモリーに記録。画像を解析して腐食の有無や程度を診断する考えだ。

撮影ユニットは防水仕様で、棒の先に高圧洗浄機のノズルも取り付ける。ノズルから水を噴射して内壁の汚れを落とし、そのうえで撮影するやり方を検討中だ。

下水管の耐用年数は50年程度とされ、1960年ごろから全国で敷設が進んだ下水管が更新時期に入っている。圧送管は圧力がかかっているため破裂すると汚水が噴出する可能性もある。ただ、これまで圧送管の更新は破損後に実施するのが通例だった。クボタは事前診断の提案で、破損事故の未然防止を図る。

クボタは農機が主力事業だが、上下水管でもシェア6割を持つ国内大手だ。上下水管販売を主力とする水・環境部門の2015年12月期の売上高は2037億円(9カ月決算)。

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