サントリーホールディングス(HD)は1日、コマツや日野自動車、クボタと物流で協業すると発表した。ビール原料の麦芽を輸入する際に使った海上コンテナをコマツの建機部品などの輸出に活用し、空のコンテナを国内で運ぶ無駄を抑える。東京五輪に向けて予想される東京湾周辺の物流危機に備える動きだ。
サントリーグループ全体の原料調達などを担うサントリーMONOZUKURIエキスパートの今井基樹・物流部課長は「五輪の期間中に物流にどんな影響があるのか、何一つ見えてこない」と危機感を抱く。東京湾周辺では五輪関係者の専用道路の敷設やセキュリティー検査の厳格化に伴って、企業の物流が滞るリスクが表面化してきた。
政府などは五輪関係の事業が交通に及ぼす悪影響を抑える検討を進めるが、先行きは不透明だ。サントリーは自助努力で問題の解決を目指す。
今回の協業は「コンテナラウンドユース」と呼ばれ、コンテナを使う企業と輸出企業が協力してコンテナを効率良く運ぶ仕組み。サントリーが群馬県の工場で使ったコンテナを、栃木県にあるコマツの工場や茨城県内の日野自動車とクボタの工場で輸出に生かす。
混雑が激しい東京港での物流効率化が狙いで、サントリーはアサヒビールやキリンビール、サッポロビールに同じ仕組みの導入を呼びかける。
コンテナは一般的に船会社が保有し、輸入企業は空のコンテナを港に返す。反対に輸出企業は空のコンテナを港に受け取りに行く必要があり、無駄な輸送が発生している。輸出入の企業が手を組めば、コストを2~3割削減できるとされる。
サントリーによれば東京港を経由するコンテナの物流コストは、2020年には17年と比べて3割高くなる可能性があるという。今回の取り組みで経費を抑えれば、反対に1割安くすることが可能と同社はみている。
コンテナの共同利用は輸出企業と輸入企業で輸送時刻を擦り合わせるなどの手間がかかる。従来は労力をかけてまで連携する機運に乏しかったが、東京五輪の関連事業で予想される東京港周辺の大混雑が、各社に決断を促した。
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