クボタ―北米戦略「石の上にも三年」(2017/12/08)

 クボタが北米事業のてこ入れを急いでいる。主力製品は牧場作業などに使われる小型トラクターだが、農機世界最大手の米ディアなどの攻勢を受けて苦戦が目立つ。収益事業として強化するには「石の上にも三年」の覚悟が必要なようだ。

 クボタの北米事業は連結売上高の3割を占め、売上高営業利益率が2割に達したことがあった。だが、最近数年間は穀物相場の低迷による農家の収入減などが響き伸び悩む。特に大型トラクターなどに強いディアは富裕層が趣味などで使う小型トラクターに注力、競争が激化しているからだ。

 同社の木村茂取締役は北米で小型トラクターの40%シェアは「クボタへの評価や従業員の士気の土台」として販促費の強化などでディアを迎え撃つ。2016年に本格的な販売を始めた大型トラクターもディアの本丸ゆえ厳しい。ライバルはクボタの中古農機の下取り価格を引き下げるなど「クボタつぶしに必死」という。

 クボタは北米市場の深掘りが不可欠だ。「売上高が年200億円規模、トラクターの販売台数が同1万台以上の有望な市場がほかにない」(モルガン・スタンレーMUFG証券の井原芳直アナリスト)からだ。

 今後3年先ぐらいを見据えると明るい材料もある。19年以降には現地で販売・サービス体制が整う。カンザス州の物流拠点を開設、主要市場の米中西部で修理部品を即日発送できる。修理や点検ができる代理店は20年までに現在の200カ所台から倍増する方針だ。

 クボタの株価は年初来高値圏にはあるものの、11月は横ばい。「投資家は機械セクターの資金を工作機械やファクトリーオートメーション(FA)に振り向けている」(野村証券の田崎僚アナリスト)との声もある。当面は北米でライバルの攻勢という風雨を耐え忍び、晴れ間を待つ我慢が必要だろう。

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