クボタが中国農機市場の減速に直面している。10年続いた右肩上がりの成長が止まり、当面は回復が期待しにくい。畑作農機で世界に打って出ようとするクボタにとって主要市場の一つである中国の変調は誤算だ。
「中国の農機市場は黄金の10年が終わった」。クボタで財務を担当する木村茂取締役は今年夏に中国を訪問した際に、農機市場の急減速を目の当たりにした。
当初は今春に補助金の支給が遅れたことが原因とみていたが、その読みは甘かったようだ。ようやく補助金が支給された5月こそ前年を上回ったが、6月以降は前年比でマイナスが続く。中国を含むアジア事業の売上高は2018年7~9月期が798億円と前年同期に比べ6%減った。増収になった欧州や北米とは対照的だ。
中国では、農家から刈り取り作業を請け負う「賃刈り屋」と呼ばれる専門業者の参入が相次いできた。最近ではこの業者同士の競争が激化し、刈り取りビジネスからの撤退などで農機販売に急ブレーキがかかった。
タイミングの悪さも追い打ちをかける。クボタは18年4月にトラクターやコンバインを生産する中国第2工場の開所式を終えたばかり。「グローバル・メジャー・ブランド」の確立に向けて、畑作用の農機を強化する狙いがある。
中国は欧米とともにその一翼を担うはずだった。だがそのシナリオには狂いが生じた。クボタは需要が比較的堅調な大型農機の投入を急ぐなどして売り上げの落ち込みをカバーする考えだが、工場の従業員のレイオフ(一時解雇)など固定費の削減を迫られている。
懸案は中国だけではない。8月には18年12月期の連結純利益見通しを60億円下方修正し、前期比8%増の1450億円とした。米国での追加関税に伴う鋼材価格の上昇や、競争激化を背景とした販売奨励金(インセンティブ)が重荷だ。
18年12月期の売上高営業利益率は11.1%と前期比0.3ポイント低下する見通し。今後は成長分野と位置づける海外の大型農機や自動運転技術などをどう収益に結びつけられるかが課題になる。
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