クボタは25日、自動運転ができる農機を公開した。全地球測位システム(GPS)と農場の情報などを含んだクラウドシステムを連携させ、農作業を軽減させる。有人監視下で自律走行可能なトラクターを6月に試験販売する方針も表明した。2020年をメドに完全自動運転を実現するための第一歩となる。
「移動の指令をお願いします」。司会者に促されたオペレーターが手元のリモコンのボタンを押すと、無人のトラクターが動き始めた。自動計算した経路を進みながら、耕運作業を進める。180度のターンもスムーズ。エンジン回転を自動的に下げながら小さく方向を変えて戻ってきた。
無人トラクターには4つのカメラが搭載されている。ヒトに見立てた障害物を見つけると「青色」のライトが点灯。さらに進むと「赤色」が点灯し、自動停止した。オペレーターが障害物を取り除くと、すぐに作業が再開。田植え作業や刈り取りも人の手を借りずに作業を終えた。
農林水産省などは農機の自動化レベルを4つに分けている。クボタが実演した農機の難易度は、有人監視下で自律走行が可能な「レベル2」。飯田聡取締役は「技術を活用して、もうかる農業をつくりたい」と語った。
日本の農業就業人口は減少し、担い手の高齢化が進んでいる。一方で農地の大規模化と企業の農業参入で効率化を求めるニーズは強まっている。クボタだけでなく、ヤンマーや井関農機も無人走行可能なトラクターの開発を急いでいる。
「明日は雨が降りそうなので、今日中に刈り取り作業をやってしまうか」。目の前にはコメ作りに必要な農作業の手順が書かれたモニター画面。圃場には誰もいない。クボタが描く農業の未来は、ヒトが自宅の居間にいたままで無人農機がすべての作業を担うことだ。グループをあげての挑戦が始まっている。
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