2018/03/28 クボタ、電動の肥料散布機器、トラクターとセット販売、欧州で精密農業に的

 クボタは2019年12月までに、トラクターに取り付けて肥料散布などに使う作業機器の一部を電動化し、欧州市場に投入する。現在の機械駆動に比べ、肥料をまく量を調整しやすいほか、無駄も省ける。クボタは欧米の畑作向け農機の拡販に力を入れており、精密な制御ができる機器とトラクターをセットで販売して、競争力を高める。

 作業内容に応じてトラクターに取り付ける機器は「インプルメント」と呼ばれる。まず肥料や農薬をまくインプルメントを電動化した「e―スプレッダ」を発売する。圃場の状態や前年のデータに基づいて、きめ細かく肥料の散布量を調整できれば、収穫増や無駄の削減につながる。

 電動化してモーターで散布の機構を動かせば、細かい調整が可能になる。現在の作業機器はトラクターのエンジンの動力を接続機構を介して伝えているが、段階的にしか動きを変えられない。クボタによると電動化は世界的に例が無く、1割ほど無駄を減らせるようにするという。エンジンの負荷も減らせる。欧州に次いで、北米でも展開する予定。価格や販売目標は今後詰める。

 クボタはこれまで水田などで使いやすい小型トラクターを主力としてきた。ただ国内は大きな成長が見込めず、欧米で主流の大規模な畑作向け農機に力を入れている。

 欧州市場では先行する米ディアやオランダのCNHインダストリアルなどが強い。クボタはインプルメントの開発や販売網補完のために、12年に農機大手のクバンランド(ノルウェー)を買収した。16年には米農機のグレート・プレーンズ・マニュファクチャリングも子会社化した。

 現地メーカーはトラクターを主に製造し、作業機器との連動ではクボタが強いという。農機と作業機器を組み合わせて現地勢に対抗する戦略で、新しい電動式もクバンランドと共同で開発した。

 特に、フランスやドイツなど欧州では効率的な農業への関心が高く、電動化で競争力が確保できるとみている。

 きめ細かな管理で生産性を高める「精密農業」の世界市場は拡大している。米調査会社マーケッツアンドマーケッツは、22年の世界市場が15年の2・4倍にあたる78億7千万ドルに達すると予想している。クボタの北尾裕一取締役専務執行役員は「近い将来のトレンドになる」とみている。

 クボタの17年12月期の連結売上高のうち欧米は44%。この地域での事業拡大に力を入れる。

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